派遣労働者の就労においては、様々な苦情その他の問題が発生する事があります。そしてそれらを迅速に解決していく共に、適正な就業を確保していく事が求められ、適切な雇用管理のもとに派遣労働者の保護等を行っていく必要があります。そこで、その役割を果たしていくために選任されるのが派遣元責任者です。
労働者派遣法では第36条によって、派遣元事業主に対し法令に定める基準に適合するもののうちから「派遣元責任者」を選任することを定めています。
次のいずれの要件も満たす者である必要があります。
① 法第36 条の規定により、未成年者でなく、法第6条第1号から第8号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当
しないこと。
② 則第29 条で定める要件、手続に従って派遣元責任者の選任がなされていること。
・派遣元事業主の事業所ごとに当該事業所に専属の派遣元責任者として自己の雇用する労働者(事業主や法人の
場合の役員も可)の中から定められた人数以上で選任すること。
・物の製造の業務に労働者派遣をする事業所等にあっては、 製造業務専門派遣元責任者を定められた人数以上で
選任すること。
③ 住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
④ 適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
⑤ 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
⑥ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
⑦ 派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと。
⑧ 次のいずれかに該当する者であること。
(ⅰ) 成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、
支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を
含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の
担当者であったことをいう。
(ⅱ) 成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
(ⅲ)成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
(ⅳ)成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
⑨ 厚生労働省告示(平成27 年厚生労働省告示第392 号)に定められた講習機関が実施する則第29 条の2で規定
する「派遣元責任者講習」を受講(許可の申請の受理の日前3年以内の受講に限る。)した者であること。
⑩ 外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を
有する者であること。
⑪ 派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること。
派遣元責任者は、次に掲げる職務を行わなければなりません。
・ 派遣労働者であることの明示等
・ 就業条件等の明示
・ 派遣先への通知
・ 派遣元管理台帳の作成、記載及び保存
・ 派遣労働者に対する必要な助言及び指導の実施
・ 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理
・ 派遣先との連絡・調整
・ 派遣労働者の個人情報の管理に関すること
・ 当該派遣労働者についての教育訓練の実施及び職業生活設計に関する相談の機会の確保に関すること
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